無資格・無免許問題に関して。

9月9日発売の「週刊プレイボーイ」第38号にて、当会の安田和正会長による無資格・無免許問題に関してのインタビューが掲載されました。下記にてその内容を掲載いたします。

なおHP掲載にあたり(株)集英社 週刊プレイボーイ編集部様より許諾を得て掲載しております。

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グレーすぎる施術でけが人が急増中!!

 

消費者庁も警告する「地獄マッサージ」の実態

 
 
 
一向に後を絶たない無資格者によるマッサージ中の事故
 

7月中旬、フリーアナウンサーの生島ヒロシさんが都内で「おなかをへこませるマッサージ」を受け、肋骨を2本骨折したというニュースが話題になった。生島さんは空手の有段者で、4年前にはライザップで肉体改造にも成功したほどの健康体。人生初の骨折がマッサージによるものだったため、世間から驚きの声が上がった。

だが、生島さんの事故は何もレアケースではない!近年、無資格者マッサージによる事故が急増しているのだ。

消費者庁には、整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージなどによる施術で発生した事故の情報が2009年から17年までの間に1483件も寄せられており、国民生活センターでは、17年度に過去10年間で最多となる302件の被害が報告されている。

「膝が痛くてカイロプラクティックに行った。膝のほかに顔がゆがんでいると言われ、承諾も得ずに強引に施術されたが、その後は顔の痛みが取れず、1週間くらい歯の痛みと耳鳴りで眠ることができなかった」(30代女性)

「お試しのハワイアンオイルマッサージがよかったので全身マッサージを受けたところ、背中などをぐりぐりと痛いくらい押された。数日後、頭や首の周りに痛みを覚え、病院で頸椎捻挫と診断。治療費をマッサージ店に求めたところ、『施術との因果関係が不明なので支払えない』との通知が来た。痛みが続いているにもかかわらず、何もしてくれないのは納得できない」(50代女性)

消費者庁や国民生活センターのホームページではこのような被害者の声を掲載しているが、施術中の事故やケガは一向に後を絶たない。

 
 
「国家資格の有無」という明確な線引き
 
生島さんのように無資格マッサージ店でケガを負う人が増えているのはなぜなのか?日本あん摩マッサージ指圧師会 会長の安田和正さんが警鐘を鳴らす。

「報告されている被害の99パーセントは無資格施術所によるものだと思います。あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうなどの有資格施術所がケガを負わせるケースは極めてまれですから」

一般的には「マッサージ」とひとくくりにされがちだが、その施術内容によって、「国家資格の有無」という明確な線引きが存在する。

あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうには資格制度があり、養成施設で3年以上の教育を受け、国家試験に合格しなければ施術を行うことができないという法律があるのだ。

一方で整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージなどには法的な資格制度がない。そのため、実地経験のないアルバイトでもすぐに施術を行なうことが可能となっている。

「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうなどの国から認められた”プロ”の施術者と比べたら、無資格施術所の圧倒的多数の施術者が技術不足であることは否めない。資格が必要ないのだから”素人”も同然。事故の危険性も高まりますよね」(安田さん、以下同)

では国家試験がなく、技術的にもばらつきが生じる無資格施術所がちまたにあふれているのはなぜか?

「理由は無資格施術所が増えることで経済が回るからです。経済産業省によって職業・産業部類が規定されていますが、なんと14年から、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうといった有資格の施術所と、整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージといった無資格の施術所が同じ医師福祉事業の療術業に分類されました。つまり、国家資格の有無という明確な線引きがあるにもかかわらず、すべて一緒くたにされたのです。これが後押しとなり、無資格施術所が増加していきました」

 
 
施術前に同意書の記入を求めるワケ
 
有資格施術所と無資格施術所は国から同じ職業・産業に分類されているが、実態は大きく異なる。有資格施術所は医師法の規定によって自由に広告がだせないのだ。

「いわゆる一般的な病院と一緒で『ウチは○○を治せる』といったことは一切書くことができないですし、細かい治療内容や治療費の値段も表示できません。一方、無資格施術所は医業ではないですから、自由度が高いのです」

裏を返せば、看板やホームページにサービス内容が細かく書かれている店舗は無資格施術所と判断できる。

「有資格施術所は店外に『国家資格あり』と表示することもできません。治療所の中でしか免許証を掲示してはいけないと決められているんですよ。『一般的な病院は店外に”医師免許あり”とは書いていないから』という理屈らしいですが……」

無資格施術所は自由に広告を掲げられるため客を呼び込みやすく、また有資格施術所とは違って誰でも採用できるため人手を集めやすいのだろう。このような現状に対して憤る安田会長だが、「有資格施術所の不遇を嘆きたいわけではない」と声を大にする。

「私が一番言いたいのは、『利用者にとって安心して受けられるのはどちらか?』ということ。たいていの有資格施術所は事故やケガといった万が一のケースに備えて損害保険に加入していますが、無資格施術所は免許がないから入れないんです。利用者にとってはそこが一番大きい」

例えば、有資格施術所でケガを負った場合、病院の診断書を提示すれば、その店舗が加入している損害保険によって保険金が出る。一方、無資格施術所は保険に加入することができないため、利用者が被害を訴えても治療費を得ることは極めて難しいという。

「最近はもめ事を避けるため、施術前に要項が細かく記された同意書の記入を求める無資格施術所が多い。『事故やケガなどの責任は当店では負いかねます』といった文言に同意しなければ施術を受けさせないんです。仮に同意書がなくとも、『ケガと施術の因果関係がはっきりしない』などと主張し、自分たちの非を認めないでしょう」

このような状況に陥った被害者は裁判に持ち込むしかなく、泣き寝入りするケースが非常に多いという。

「ケガの程度にもよりますが、なかなか裁判は起こしづらいですよね。消費者庁や国民生活センターに寄せられる被害者の声は氷山の一角にすぎないと思いますよ」

 
 
全身マッサージは400m全力疾走並の疲労度
 
では、無資格施術所でのケガを避けるためにはどうしたらいいのか?生島さんは肋骨を骨折したときに痛みを感じたものの、「一生懸命やってくれている」という理由でついつい我慢してしまったそうだが、「我慢するのは典型的な悪例」と安田会長は指摘する。

「体格のしっかりした人や体幹の弱い人もいるので一概には言えませんが、痛いと思ったら必ず伝えないと。痛すぎていいことはないんですから」

バラエティ番組の罰ゲームでよく目にするような、激痛を伴う足裏マッサージは言語道断だ。

「あんなのはとんでもないですよ。足裏は体の中で最も神経が集まっている部位ですから、そりゃあ痛い。僕らあん摩マッサージ指圧師も足裏を施術しますけど、あくまでも全身調整の中でやる程度。注意してほしいのは、足裏マッサージ自体は国に認められた資格がないこと。もし被害を受けても自己責任になりますよ」

また、首を強い力でひねり、ボキボキと音を鳴らす施術もよく目にするが、これは「頸椎スラスト」と呼ばれるもので、その危険性が問題になって1991年に厚生省(現厚生労働省)が禁止を通達した”いわくつきの施術”なのだ。

「関節が摩耗してしまうため、脊髄損傷を起こして動けなくなった人もいるほど。でも、患者からの要望が現在でも後を絶たず、禁止と知りながら施術するマッサージ師もいます。基本的に有資格施術者はそんなことやらないんですけどね……」

これらふたつの事例は過剰な負荷をかけることによって起こりうる事故だが、そもそも少しでも体をほぐせば筋肉疲労は起きるもの。正当な力で施術したとしても、相当のカロリーを消費するのだ。

「全身を30分、40分ほどマッサージすると、400mを全力疾走するくらいの疲労がたまります(2、3日目から疲労が取れて爽快になる)。それだけ体に負荷をかけるわけですから、ちゃんと技術を持った人の施術を受けないとやっぱり怖い」

 有資格施術所の割合はマッサージ業界全体の約3割程度。もちろん無資格施術所にも施術のうまい人はいるだろうが、国家試験がないため、人によって技術はバラバラ。担当する施術者によっては地獄に突き落とされるような痛みを味わうリスクもはらんでいる。天国か、地獄か―。お店に入る前に一度立ち止まって見極めてほしい。

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